toshimichanの日記

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2021-08-17から1日間の記事一覧

斬文 4

貴女のため息が いつしか銀色の雲になり、 この澄んだ夜空の あの綺麗な月を滲ませる。 うつ向いて前髪に隠された瞳が、 膝の上で絡めた二人の指先を見てる。 その横顔に月明かりが 翳り出すのが辛かった。 さっきまで、 あんなに綺麗だった下弦の月を 隠せ…

斬文(危) 3

ベッドで膝を交えて見詰め合っていた。 彼女の視線には、 何の迷いも躊躇いも感じられなかった。 純粋に、真っ直ぐに俺の眼を見詰めて、 迷いのない願いを訴えていた。 「こんな歳になってから、 こんな女にされちゃうなんて、 思ってもみなかったよ。」 見…

斬文 2

こんな男になりたかった訳ではない。 さりとて、大きな岐路に立たされて迷った覚えもない。 選ぶして選んだ道を辿って歩いて来たら、こんな男に成り下がってしまっていた。 何処でどんな選択を大きく間違った訳でもなく、幾つもの小さな岐路をほんの少しずつ…

斬文 1

知らなかった。 分かっていなかった。 そして、少し驚いていた。 私の知らない、 私が、 貴方の中にいた。 どんな風に私は変わるんだろう。 そうじゃない。 どんな自分が、 現れるて来るんだろうか。 どんな自分に、 なってしまうのだろうか。 貴方の色に染…