toshimichanの日記

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串の輝き 2

真っ白な夢の中にいる。
意識があるのかな、わたし?
えも言われぬ温かさが
全身を包み込んで
ふんわりと宙を漂って、
とても気持ちが良いなぁ。
もしも、夢だったら
このままずっと
目覚めたくないな。

乱れた髪を僅かに左右に
揺れ動かし、
口角の上がった幸せそうな
笑顔を浮かべながら
女は、
道端で轢き殺された
動物の死骸の様に
惨たらしい肢体を晒して
床に転がっていた。

解き放たれた手足には、
拘束されていたロープの締め跡がくっきりと残り、
赤紫色に変色した乳首からは、
未だに僅かな出血が続いている。
そんな、汚ならしくも
惨たらしい肢体に俺は
心が張り裂けんばかりの
愛おしさに襲われて、
きつく、強く、抱き締めずには
いられなかった。

プレイ。
などと言う、
遊び感覚の行為ではなかった。
今夜の彼女は、
泣き叫ぶ声をも枯らし、
悲鳴さえも掠れた呼吸音にしか
ならなくなる程に痛みを
味わい尽くしていた。


左手で、
強く鷲掴みにした指の間からは、
行き場をなくした柔らかい肉が
弾けそうにはみ出している。
たいして鋭くもない、
ステンレスのバーベキュー串は
張り積めて指間から盛り上がった
乳房の皮膚を突き破るのには不向きだったのだろう。
利き腕の右手が少し震えるくらいの力を込めなくては突き刺さりはしなかった。
丸く盛り上がった肉に先端がめり込んで窪んで行く。

顔を背け、握り潰されている
自分の乳房から目を逸らして
声を詰まらせていた。

皮膚を突き破れずに、窪みに沈み込んで行く串が押し込む力に負け始めて歪んでしまっている。
このままでは、串が曲がってしまう。
そう思った俺は、単純に押すだけの動きに、グリグリと捻るような回転を加えた。
ほんの一瞬、串を握る指先に、ふっと反発が軽くなる感触がぶつっと伝わった。
次の瞬間に串が少し軽くなる。

瞬間的に息を吸い込み、悲鳴を飲み込んだ彼女が冷静に、
俺の顔を覗き込むように視線を合わせて掠れた声で、
「あっ、刺さった。」と呟いた。
どうやら、無理にでも笑顔を作ろうと努力をしている様だったが、
流石に、これだけの太さの串が乳房の皮膚を突き破ったのだから、その痛みには抗えなかったのだろう。
不自然に引き吊った口元が震えているのが分かった。
「続けるよ」
コクりと頷きを確認して、視線を合わせる。
彼女の瞳の奥に読み取れない決意が光っている。

掴み直した手の平に、柔らかく粘り着く様に密着する乳房。
ほんの少し先端を飲み込んだままの傷口からは、一筋の血が流れ出していた。

捻る様に、こじる様に串を押し込むと、肉が膨らみ掴んでいる手の平に反発してくる。
グリッと力を籠めるとぐぐっと串がめり込んで、その度ごとに手の平の反発が軽くなる。
親指と人差し指に挟まれた乳房の肉が、硬い明らかな異物感を捉えていた。
確実に彼女の乳房に、バーベキュー用の串が突き刺さって行くのが判った。
その指先に更に力を加えるとグニャリとした柔らかさの中に指が沈む。

グリッと押し込む度に、
悲痛な叫びを噛み殺しながら
俺の顔を凝視をしている彼女。
時折、唇を寄せてキスをせがむ様な素振りをするのだが、
握り締めた乳房を捻り上げれば
その頭は後ろに退け反り呻き声を
上げて諦めるのだった。

左手の指先が乳線の塊を捉える。
コリコリとしたそのシコリの様な
塊を目掛けて串をグリグリと挿し進める。
硬い金属がふわふわの柔らかい肉を切り裂きながら、押し退けながら
進んで行く様が、リアルに指先に伝わって来る。


俺はいったい何をやっているのだろうか。
愛している筈の彼女の、俺の一番好きな体の部分。
触り易い体の位置にあり、
目につく存在感をいつも主張して、
何時でも、俺に「触りなさい」と
言わんばかりに張り出している。

暇さえあれば、常に手を置き、
その柔らかさと触り心地を楽しみ、
癒されている場所なのに。

どうしてこんなに惨たらしい事が出来てしまうのか、
自分でも理解がし難かった。