toshimichanの日記

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10年振り

10年振りだった。

たった4年足らずの付き合いに終止符を打ったのは、彼女の浮気?が原因だったと記憶していた。

アラサーとは言え、元々未婚の女性が既婚者の俺なんかと付き合っている事自体に無理はあったのは確かだった。
そう考えれば、既婚者の俺が彼女に対して嫉妬したり束縛をするのは筋違いなのは自覚はしていたのだが、
「付き合っている」と言う定義の上で、他者との関係を構築しようとしていた気持ちの上での脇見が一緒に過ごしている時間を不快にさせていたんだ。

俺にしてみれば、幾らかの策略的な苦労を重ねてやっと作り出した時間の中で、出来得る限りの愛情を注いでいた積もりだったんだ。

確かに、正しくはない関係だったし、
彼女にしてみれば、俺との将来はない事が明白であった以上は、後釜を見つける彼女に罪はなかったのかも知れない。



10年もの歳月が流れてしまったと言うのに彼女の外見は、別れた時点での若さは失っていない様に見えていた。

多少、化粧は濃くなっている様にも思えたのだが、考えてみれば彼女ももう40才になっている筈なんだと、過ぎ去った空白の年月の長さを思い知るのだった。

「久し振り過ぎるよね。
番号が変わってなくてよかった。」

彼女らしいふわふわの前髪を歩調に合わせてリズミカルに踊らせながら歩いてくる姿を見て、何故かほっとする自分を不思議に思った。

駅の改札口を出た、通勤帰りの人達が行き交う雑踏を横目に見ながら二人は向き合って再会を懐かしんでいた。

「なんか、全然変わってないね、
相変わらずキラキラ輝いてるじゃん。」

「そんな事ないよ。
こう見えても寄る年波には従順に添わせて貰ってるよ。
弛む所は弛んで来てるし、小皺も目立って来てるんだら。」

そう言われた俺は、おもむろに彼女の目尻に視線を向けてしまった。

「止めてよね、本人の顔をまじまじと見て改めて確認する様な事じゃないでしょ。」

言われる様な目立った小皺などなく、10年前の彼女となんら変わってはいない様に思えた。
しかしながら、10年も前の俺の記憶も余り定かではないので、実際に彼女がどれ程変わったのかは比較しようがなかった。



12月も半ばを過ぎている街並みには、カラフルな飾り付けがされていて、整然と立ち並ぶ街路樹には、見事なイルミネーションが煌めいて、正にクリスマスの雰囲気の真っ只中だった。

そう言えばあの頃、長い一本のマフラーを二人でしながらべったりとくっ着いて、こんな街中を恥ずかし気もなく歩いた事を思い出していた。

あれからもう10年以上の年月が流れているなんて、こうして手を繋ぎ合って歩いていると、まるで数日前の出来事の様でとても信じられなかった。

隣には、ごく自然に当たり前の様に彼女がいて、煌めいている街並みを手を繋いで歩いている。
交わしている会話も10年のブランクなど感じる事なく、気心が知れた者同士の気楽な雰囲気で途切れる事なく話せていた。


彼女の住むこの街は、10年経った今も余り変わってはいなかった。
有名ブランドショップや気取ったレストラン、お洒落なカフェやブライダルショップなどが相も変わらず華やかに軒を並べて、この街並みの高級感を演出している。
そんな中にある一軒のアクセサリーショップが目に止まった。

二人はその店を見た途端に、お互いに視線を合わせ合いながら、ふっと微笑み合い、一瞬で意思の疎通ごなされたのだった。

「やっぱり、考えてる事は同じだったね。」

それはまるで何時もの様に。
と言わんばかりに、当たり前にその店に立ち寄り、お互いの為のプレゼントを探し始めたのだった。

「ねぇ、ねぇ、金のネックレスとかは?」

「ブレスレットはしないのかな?」

流石に10年の歳月は、お互いの意思を確認し合わなければ、そこそこの金額を出して使えないプレゼントにする分けには行かないので、お互いの好みを確認し合いながら選ぶしかなかったのだった。

似合う似合わないよりも、普段に使えない様な物はプレゼントしたくなかったし、何よりも相手には喜んで貰って欲しかったのだ。

確かに、プレゼントと言うのは、綺麗な包装紙に包まれた、中身の分からない物を受け取って、わくわく期待をしながら開けると言うのも醍醐味ではあるのだが、
その期待値が大きさ過ぎて、中身を見た途端に落胆してしまうと言うケースもあったりする。
特に、そのプレゼントをくれた相手との関係性や色々な思いが込められたりする。
況してや、男女として関係を持っている相手ならば、その愛情を表すバロメーターにもなりかねない品物になるのだ。
それは単純に愛情が金額だけに現されるのではなく、
その品物が相手の雰囲気にどれだけ似合うのかのセンスを問われたり、
自分と言う人柄をどの様に捉えているのかの物差しになったりもするのだ。

そう言った意味で、俺達の様な不倫関係?成さぬ仲の場合には、プレゼントする相手の意見を聞きながら選ぶ事が一番無難で間違いのない手段ではあるのだ。

特にクリスマスの様な、お互いに贈り合うプレゼントの場合には、渡した物と貰った物とのギャップを生じさせない為にも、お互いの意思の疎通はとても大切な事である。


お互いがお互いを主張しないながらも、その存在感は確実にその身の側に居る事の出来る小さな意地と秘密。
当事者の二人だけが知り得る煌めきの中にある思い。
選び合って、着け合った瞬間の気持ちは、その品物に宿り形として残され、心情の中に刻まれる。


そしてまた、そこで新たな二人の思い出が作られてしまったのだった。





 


グレイッシュピンクの天井に向けられた
間接照明が
彼女の鮮やかなルージュの紅色を
引き立たせ
より一層に妖艶さを演出している。

ホワイトオークの大きなテーブルには
ベルベット素材の真っ赤なクロスが敷かれ
その四隅には
銀のキャンドルスタンドがあり
パステルカラーの捻れたキャンドルが
甘い香りを醸し出しながら
その炎を揺らしている。

二人で食べるには、
大き過ぎるデコレーションケーキ


小さなスキレットの中には、
美味しそうなメルティングチーズが
芳醇で独特の香りを放ち
トロトロに蕩けている。


いったい何処で買って来たのやら、やたらにセクシーなサンタクロースのコスプレは、多分、彼女の年齢にしてみれば、かなり痛い筈なのだが、そこは二人だけの世界なので恥ずかしさよりも、その雰囲気を重視しての演出をしてくれた彼女の気持ちが凄く嬉しかった。

相変わらずの、暴力的とも言える見事なプロポーションを維持している彼女のおっぱいはその衣装には収まり切れずに、横乳としてはみ出してしまっていた。

白いふわふわの飾り付けがされている真っ赤で短か過ぎるミニスカートから伸びた見事な脚線美。

部屋の中に居るのにも関わらず、恐らく衣装として履いてくれている、真っ赤なピンヒールで動き難そうにステップを踏みながら大きなおっぱいを揺らしながら踊ってくれている。

時折、その短か過ぎるスカートをたくし上げ下着を着けていない身体を直ぐ傍で見せ付けに来てくれる。

「いつでも、好きな時に襲って良いんだよ。」

彼女が耳元で囁いた。






クロワッサンと言う名前のパンがある。
元の意味は月の形をしているからそのような名前が着けられたのだと記憶している。

その大きさに特に規定などはないのだろうが、一般的には、まあ、二口くらいで食べきれる大きさなのだろうか。
焼き加減も、まあ、普通はきつね色と呼ばれる程度に焼き上がっているのだろう。

大きさ的には、通常のクロワッサンの三分の一程度のサイズ感をしていて、その色は、ちょっと焦がしてしまった感が否めない様な、食べ頃には程遠い色合いをしているんだ。



彼女の陰唇を見る度に俺は、そのクロワッサンの様だと、何時も思っていた事を改めて思い出していた。

肉厚で腫れぼったく、向かい合った二つのクロワッサンは、そのパンの食感とは全く異なるプルンとした、とても柔らかく、温かい舌触りをしているのだ。

口の中に吸い込めば、柔らかく厚みのある肉質の感じが、グニョグニョとして思わず噛み締めたくなる量感を味合わせてくれるのだが、そこは、彼女のとてもデリケートな部分であり、その咀嚼欲を果たす分けにはいかないジレンマと闘わなければならないのだ。

しかしながら、こんな関係を続けていれば、その部分とその様に向き合う時間は頻繁にあるのは当たり前の出来事であり、
況してやクンニ好きな俺からしてみれば、口の中を満たしてくれる陰唇は俺の大好物なのは言うまでもない。

なので、彼女の陰唇をこの様なクロワッサンモドキに仕立て上げてしまったのは、もしかしたら、この俺のクンニ好きがいけなかったのかも知れないのだ。




ホワイトオークの大きさテーブルの上に、真っ赤なサンタコスをした彼女が、綺麗な脚を左右に大きく開いて寝転んでいる。

俺は、クリスマスケーキの生クリームを指で救い取り、丹念にクロワッサンに塗り着け、おもむろにかぶり付いていた。







2021年12月のクリスマスは金曜日。
俺は家族と共に温かい夜を過ごしていた頃、彼女はあのテーブルの上に一人で寝転がった姿で、プレゼントしたブレスレットをクロワッサンにはめ込んだ写真を送って来てくれた。










もしかして、これからクロワッサンを食べようとしている方とか、ご気分を害してしまわれたかも知れませんよね。
もしくは、ご自身の御身にそれらしき形をしている逸品をお持ちのご婦人には大変失礼な事を書いてしまいました。

結局俺はエロいんですよ、すいません。