toshimichanの日記

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サバニ

べた凪の海面に

ポッカリと浮かび上がった半月が

道筋を示す様に一筋の光の航路を

照らし出している。

 


櫂を持つ俺の手は

止まったままで

舳先を航路には向け様とはしない。

漕ぐ力はまだ衰えてはいない筈なのに。

 


風のない海面は

波紋さえも起こせそうなくらいに

余りにも平たく穏やかで

そのまま海面の上を歩いて行けそうな

錯覚さえ覚え、

不気味な静けさを称えている。

 


明るい月明かりが、

どれだけ辺りを照らそうとも

何もない海面には

ただひたすら何もなかった。

 


漕ぐ事を止めたサバニは

流れる事もなく漂い

その場で息を潜めて

 

 

 

 


海水は冷たく

そこに浮かぶ小舟さえも

孤独感に閉じ込めてしまう。