toshimichanの日記

ブログの保管所

何故か馬

牛革の紐を固く編んだ一本鞭
先端には舌の形をした
分厚く硬い革がしなって
振り下ろした時の打撃力を
増す様に取り付けられている

人ではなく馬場馬術用の
馬を調教する時に使う鞭

指令に背いた時に
馬に痛みを与えて
従わせる為の武器としての鞭

拍車を着けた長靴で
腹を蹴り
手綱で馬銜(はみ)を
ガンガンと煽って
鞭で肩下を打ち据えながら
一つ一つの命令を
痛みと苦痛で憶えさせる

普段はキラキラとした
つぶらな瞳をしている
可愛いらしい馬の眼差しが
芸を仕込む時
馬術としての所作を
騎手から暴力で
教え込まれている時の
馬の恐怖と不安に怯えた
あの瞳の愁いや戸惑いを
沸き立たせている目付き

草食動物のあの巨体で
正に馬力のある体力
人の持つ腕力等くらいでは
従わせる事など
とても出来やしないはずなのに

背中に乗り
手綱で馬銜を引き
踵で腹をコンコンと
軽く蹴るだけの指令で
斜めにも歩けば
その場で足踏みをしたり
後ろ足を軸にして回ったりと
とても繊細で多彩な動きを
してくれる様になるんだ

そうなってくれる馬は
どんな馬にでもできる技ではない

馬自身の性格や素直さ
物覚えの良し悪し
歩く姿の美しさや
馬体のフォルムの美しさ
騎手、乗り手との相性

そして何よりも
人と馬の
その日、その時のコンディション

色んな条件が合致して
人馬一本の見事な
ソーシャルダンスとも言える
優雅な動きが実現されるんだ

そこまでの道程は
人の意志が通じない
獣としての馬を
非力で
たいした体力を持たない人が
長い時間を懸けて
調教と言う暴力で
教え込ませなければならないんだ



乗り手もそう
馬にしてもそう
誰にだって出来るものではなく
どんな馬でもいいわけではない

性格もあれば相性もある
騎手の技量だけでは成り立たないし
馬の調教の仕上がりだけでもない

鞍に股がると
スッと一瞬で意思の疎通が
感じ合えて
馬がシャキッと姿勢を正してくれる

よっしゃ、行くぞと言う
気合いが馬にちゃんと伝わり
自由自在に動いてくれる
あの一体感


手には鞭もなければ
長靴に拍車も着けてはない
D馬銜の二本手綱ではなく
指先で軽く引く為の手綱の指令と
腹をコンコンと蹴る脚力だけで
乗り手の気持ちを伝えられるんだ



馬術、乗馬とは
土誇りの舞う馬場の中を
単調にあくせく動き回るだけではなく、時には、森の中や或いは砂浜とか、
まぁ、臆病者の馬だから突然に暴走したり、後ろ足だけで跳ね上がったりもするし、
木々の枝にぶつかったりと様々な危険もあるんだけど、
ある程度の経験さえしていれば、
大自然の中を頼もしい馬の背中に乗って疾走する事が出来るんだ。
寒さを一緒に感じ、草原の土の柔らかさを感じ、砂浜の馬脚のもつれを感じ、時にはすべったり、飛び越えたりと、
ペットとは呼べない巨体の四つ足と一緒に、話し掛けながら、同じ風を感じながら過ごす掛け替えのない充実した時間が味わえるんだ。

けど、
金がかかる。




画像は、「出戻りとんこ」様からお借りしています。
ありがとうございます。
毎回、とても素敵な画像をアップされていらっしる方なので、癒されたい方にはおすすめですよ。
あっ!勝手にごめんなさい。


あらあら、エロを書こうと書き出したんだけど、鞭の説明なんかしている内に、昔の郷愁が甦ってしまって、ついつい違う方向へと話が変わってしまいました。

乗馬専門用語とか、分けの解らない言葉も多々あるかと思いますが、そんな細かい部分を説明しても、ただでさえ退屈で無意味な駄文なのに、なおさら馬鹿らしくなりそうなので省いてしまいました。
ご容赦ください。

どうにもこうにも、纏まりのないとっ散らかった独り言でごめんなさい。