toshimichanの日記

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だって、バカだもん 2

ほんの少しの勉強で、俺はアッと言う間に学年の上位の成績になり、いつの間にか2位3位になっていた。

とは言うものの、なんせバカばっかりのグズ高校。

普通の高校と比べれば、下の下ランクでしかない。

偏差値が幾つなのかも分からない始末。

大体偏差値なんて言うモノは学力を表す数値なんだから、我が高校には不必要な情報でしかない!

そんなのを知った所で何の役に立つのさ。

だって、バカは分かり切っている事実なんだから、それをわざわざ確認する必要が何処にある!

 


なる程。

返す言葉が見つからない。

 


勉強は独学。

高校に行くのは出席日数ギリギリで構わない。

高校は卒業さえすれば、大学を受験する資格ができる。

なので高校に居る時は、授業科目に関係なく他の教科の勉強に励んでいた。

だがしかし、工業高校のさが。

実習と言うのがあるのだ。

旋盤だの、溶接だの、パソコンだの一定のレベルに達して何級だとかを取得しなければならないのだ。

バカらしい、実にバカらしい。

 


そんなこんなで大学を受けた。

ちょっと背伸びをして、有名な所も受けてはみたモノの受かる訳もなく、今思えば、受験費をどぶに捨てる様な諸行だった。

 


取り敢えず、一校、なんとか合格する事ができた。

ほぼ奇跡だった。

だが、東京を通り過ぎた県の端っこで、ちょっと電車を乗り過ごせば、更に隣の県に入ってしまうようなド田舎。

とても自宅からは通える距離ではなかったので、現地での下宿暮らしと相成りました。

 


10個の個室に10人の学生。

風呂、トイレは共同で朝夕の食事付き。

食事は大家さんの娘さんが、食堂に作って並べて置いてくれました。

 


あらゆる県からの様々な学生が一つ屋根の下で、始めての下宿暮らしを

初対面の人達9人と始める。

いやいや、人生の中で滅多にない経験です。

 


育って来た環境が違う。

正にド田舎の者、横浜と聞いただけで都会とイメージしてしまう者。

方言、訛り、習慣、風習、暮らしのリズム、学力、学部。

ことごとくが違う。

けど、共通しているのは、みんな不安だった事。

みんな同じ年齢で同じ時代を育って来た事。

仲間になるまでの時間はほとんど掛からなかった。

ドア一枚を開ければ中央に広間があり、夕方、夜、明け方の時間帯を問わず、必ず誰かが何かをしていた。

まあ、ほぼ麻雀なのだが、ステレオやテレビもあったので、自分の部屋にいるよりも、そこに居る時間の方が長い奴も居る始末。

だが、みんなピッカピッカの一年生。

一年生は、朝から晩までは学校に行かなければ成りません。

なんせ一般教養課程の単位をとらなければならないので、昼間は学校なんです。

その隙を見計らって、大家の娘さんが勝手に個々の部屋を開けっ広げにして掃除をしてくれるのです。

なんせ下宿なもんですので。

朝食や夕食も決められた時間内に食べなければ片付けられてしまいます。

お風呂も2つ有りましたが、夜の10時には掃除が終わって電気も点きません。

娘さんが一人でこなしてくれていたので、我々の生活リズムなんかには合わせてくれる分けがないのです。

それは考えれば当たり前の事です。

 


しかしながら、我らは大学生。

親元を遠く離れて監視の目の届かない所へ来ての自由人。

高校生時代とは違い、単位さえ取れれば学校なんかに必要以上に行かなくても良いのです。

 


そこに生まれ始めた不平不満。

たまに、夜中とか朝方まで遊んでいたら朝寝坊をしたい。

昼間だって部屋でゴロゴロして居る時もある。

けど、娘さんは決まった時間に決まった仕事をこなしてくれるのです。

朝食を食べ損ない、ウダウダと寝て居ると、掃除機の音が近づいて来て、ガチャガチャと部屋のドアの鍵が開けられて、、、

娘さん。

寝ていようが、着替えていようがお構い無し。

 


年齢は三十路半ばのお姉さん。

18~19才の大学生の目からみても、十分に女なんですよね。

その魅力的なお姉さんが、暖かい季節に微妙な薄着で掃除と言う重労働で汗を流しながら、男一人の部屋に無防備に入って来ちゃうんですから、そりゃぁ、、、ダメでしょ。

どう考えても、ダメでしょ。

 


多感な世代の大学生。

ティッシュペーパーがゴミ箱に入ってますし、エロな物品等も持ち合わせております。

見られたくない物がある。

それと、エロい目で見てしまっている、、、お姉さんが部屋に入って来てしまう。

 


始めから無理が有ったんですよね。

 

 

 

俺はと言えば、

彼女の話しが、閑話休題

 


彼女は都内の私立大学に入って、遠距離なってしまったので、

最初の頃は毎週土曜日か日曜日に会いに行ったり来たりの昼間のデートをしていたけれど。

遠慮のない肉体関係を交わしていた仲なので、セックスをする場所に困り果てていた。

ラブホも昼間では長時間は居られない。

何よりも俺は、夕方からの短時間のバイトで生活をしていたのでお金が無かった。

だから、せめて土日にバイトをしたかったのだ。

それを踏まえての話しをしたら、

「それじゃぁ、私が下宿に行くわ」

と、遠距離通い妻。

だがしかし、

中央に広間のある下宿。

女を連れ込んでのセックスは、、、

 


みんなぁー、ごめんね。

ちょっとセックスするからさぁ

とも行かないので、

それじゃぁ、昼間。

昼間はお姉さんのタイミングを外さなければならなかったのだが、

それ以外にも、他に昼間に在室してる奴も居る訳で、、、

声なんか出せない。

なんせ、壁一枚、ドア一枚の音が筒抜けの部屋。

勿論、潮など吹いたら後始末ができない。

更に、女に免疫のない奴ら、童貞君も居る始末。

そんな所に通い妻がセックスをしに来られる分けがなかった。

 


片道3時間近くの時間と交通費を掛けて来て、

数時間二人っ切りになれる時もあれば、

中央広間で好奇な目に晒されて、ぎこちない、的外れな会話の輪の中心で愛想笑いを振り撒かなければならないつまらなさ、悲しさ。

が、やがては怒りに変わって行ってしまったのだった。

 


元々、彼女も大学生。

キャンパスには、魅力的な男性がいっぱい居る都内の大学なのだ。

俺に執着する必要性など何処にもなかった。

 


俺には俺の生活が地方で広がり、彼女は彼女の人生が始まっていた。

 


高校時代に駅で待ち伏せされた情熱や、手を繋いで歩ければ幸せだった純情な時代は遠くに過ぎ去り、

あゆみんは俺の呪縛から解き放たれて、自由で気儘な女子大生へと旅立って行った。

 

 

 

はずだった。