toshimichanの日記

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三美神

両手を広げて天を仰ぎ見れば、

私の頭上には青空が満ち溢れている。

東風なのだろうか?

掌に心地好い風圧が絡み、

体が軽さを帯びて来る。

そして柔らかな風が

適度に遮られ

私の両腕には、

真っ白な翼が現れる。

 


どこからなのか、

遥か天の遠く彼方から

私を呼ぶ声が奏でられ、

心の底に木霊し始める。

 


何故なんだろう、

何時しか見目麗しい

三美神が舞い降りて、

私を囲み、

時が閑に止まって行く。

私を呼ぶ声で、

辺りの雑音が失なわれ、

私の魂を震わせていた。

 


心が軽やかになるリズムを刻み

身体にメロディーが染み込んで来る。

辺り一面が

春の草花に囲まれた様に華やかになり

甘く切ない薫りに包まれる。

その途端に踏みしめていた草花が

揺らぎ、私の翼に、

気の遠くなるような青い空が

溶け込んで、

ひと度羽ばたけば

鮮やかな虹を蒔き散らし

体が宙に舞い上がる。

 


軽やかに、リズミカルに

ふわりふわりと羽を煽る度に

体が面白い様に浮き上がり

辺り一面に小間切れの虹を

散らかして

空の青を犯して行った。

 


私の翼が巻き起こした悪戯に

何時しか私を呼ぶ声が、

軽やかな笑い声に変わり、

突然、三美神の一人

アグライアが目の前に降りて来た。

 


均整の取れた見事なその裸体が

爪先がゆっくりと降下して

膝、太腿、腹、胸、顔と通過して

私の羽ばたきを止める様に

両翼を抱きかかえ包み込んだ。

 


彼女が大きく深呼吸をすると、

辺りに散らばっていた虹が

彼女のぽってりとした

唇に吸い込まれて行く。

 


胸筋が開かれ

豊満な胸の膨らみが

見る見る七色に煜き、

その頂きの粒からは、

真っ白な乳となり

乳白色の飛沫となって

空の輝く雲として浮かんだ。

 


エイプロシュネも

私の顔の真正面へと舞い降りて、

うら若き裸身を晒し

透き通るような笑顔のままで

その艶やかな両脚を大胆に広げて

てらてらに濡れて、

芳醇に薫る裸芯で

私の口を塞いでしまうのだった。

口中に広がる甘くトロリとした

彼女の蜜が男の本能を掻き立て、

私は我武者羅に舌先を

震わせていた。

 


両耳に柔らかく暖かい

太腿の温もりの圧力が加えられ、

塞がれた耳には

静寂の奥から聴こえる

彼女の心拍を数えながら

私の舌はそのリズムを

掻き乱すかの様に

粒を弾き上げていた。

 


羽ばたきを止められ

口を塞さがれた私は

己の天を仰ぐ矛先が

三体目の美神、タレイアの

熱い太陽のうねりに

根元まで吸い込まれて行くのを

感じていた。

 

 

 

虹だらけの宙に漂いながら

口は美味なる裸芯を貪り

潤い溢れ出る甘い蜜を味わい。

七色に煜くふわふわの雲を

揉みし抱き、

矛先を熱き太陽で研ぎ磨かれている。

 


時の止まった青い空の真っ只中で、

三体の美神が代わる代わる

その体制を交替しながら

私の煩悩を毟り取って行く。

 


舌が痺れ、手の握力がなくなり

矛の気力がすっかりと萎えた頃、

ついさっき踏み締めていた草花を

背中に感じていた。

 


何故かぼんやりと

春霞の掛かった空すらも

眩しく感じる位に疲れていた。

草花を背中に感じているのに

頭はムッチリとした弾力に乗り

人肌の温もりが感じられる。

 


天から降り注がれる笑顔。

背景の空よりも眩しくて明るい笑顔。

私の名前を呼んでいる。

そうなんだ。

私には、この女神がいるんだ。

私は、やっぱりこの笑顔が

一番の安らぎなんだと気付く。

 


「ねえ、随分寝てたよ。

変な夢を観てたんでしょう?

だって、勃ってるもん。」