toshimichanの日記

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サディスト

昂ってしまっている彼女の性欲を
修めるのは、並大抵の仕事では
済まない。
和物のシットリとした縄や鞭の女優に
配慮された手加減が伺えるSMとは
違う、ガチで痛め付ける残虐な拷問に
苦しみ悶える女の恍惚した表情や姿に
自らの躰をラップさせてしまっている
彼女の性欲は、もはやセックスなどと
言う男女の交わり等では収まる筈も
なく、入り口にすらならないのだ。

しかし、男は、いいや俺だけなのかも
知れないが、
俺は取り敢えず彼女を抱いて、普通に
セックスをしてしまえば、性欲は
納まってしまう。
その直後は、彼女が妖艶に迫って、
俺を煽って来れば、それじゃもう一回戦
ともなるのだが、
中に俺のおちんちんを入れて、数分間
動いた所で彼女の燃え盛る炎に対しては
一滴の水滴にしかならない。
消化活動には俺の性欲などは必要ない
のだった。

性欲が一旦納まっている俺は、至って
冷静に彼女の躰を痛め付ける事が
出来る。
これはもはや才能と呼んで良いのでは
ないのだろうか。
と言うよりも、俺と彼女との相性の
成せる間柄なのだろう。
この俺の才能なくしては、彼女は俺に
これ程の執着心を抱かなかったろう。

昂りや燃え盛る炎の色や高さを、
感覚で推し量り、彼女の求めている
被虐を的確にその躰に与えて上げる。
冷静に判断を下しながら、限界の見極め
をしながら、陶酔と恍惚の世界へと
痛めつけてやらなければならない。
勿論、傷跡等は下着で隠せる部分に、
自分で手当てがし易い場所に、
出血も少なめに済む様に、しかも
成るべく痛みを強く感じる様に、
と、細やかな神経を使いながら
愛する彼女の美しくいとおしい躰を
傷付けて行くのだ。

有り余る資産家の彼女は、
その為にバスルームを改造して、
およそ、風呂場とは言い難い浴室に
変貌させてしまった。
この浴室は、俺が居なければ無用の
長物。
あちらこちらにフックやヒートンが
突き出してロープが結べる様になっ
ているし、風呂場には似つかわしく
ない棚の中には、あらゆる器具が
納められている。
なんと言っても異質感を放っている
のは、ベッドである。
浴室にベッドが置いてある光景など
は、想像が出来ないと思う。
しかもそのベッドはベッドらしからぬ
ベッドだが、見るからにベッドなので
ある。
重厚なステンレスパイプで組まれた
枠の上には真っ白なマットレス
敷いてあり、そのマットレスの中身
は水が入って居るのだ。

それらの全ては、俺が彼女に対して
与えなければならない快楽の為の
設備なのだ。
その義務感は半端ないプレッシャー
でもあり、
それ以上に、彼女を傷付け続けて
行かなければならない俺の行く末の
絶望感。
いつまで痛め付け続けるのか、
いつかは間違えを犯すのではないか
と言う恐怖感。
彼女の躰にどれだけの傷跡を遺さな
ければならないのか。
俺は彼女と別れられないのか。
俺と別れた後にこの浴室はどうなる
のだろうか。
別の彼氏がこれらを使って、彼女を
痛め付けるのかと考えると、気が
変になる様な嫉妬を覚える。
その嫉妬とは、果たして愛している
から感じるのか。
それとも独占欲なのか。
自分を解析する事など、
余りにも意味がなさ過ぎる気がして
ならない。