toshimichanの日記

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花筏

前もって言って置きますが、

文体がめちゃくちゃで

ストーリーも、

傷だらけのレコードの様に

ぶっつんぶっつんと飛びます。

安定しない男心の不安定感を

垣間見たくはない方は、

イラっとしますので

ご遠慮下さい。

 


序章

 


女からの相談事に対しては、

解決方法や回避方法を

説明してはいけない。

女が困っている時には、

先ずは、

でき得る限りその境遇に

寄り添い共感する。

悩みを共有する事に集中し

同調する事に専念する。

 


ああして、こうして、こう考えて

どうすれば楽になるなんて、

話し相手に対して

初っぱなからは

求めてはいないし、

理屈は求めていないのだ。

取り敢えず理解を求め、

共感して貰いたい。

それを理解した上で、

始めて

「どうしたら良いのかな?」

の話しが始まるのだ。

 


とかく男は解決方法を理屈で

説明したがる。

それはね、

こうだからそうなるんだよ。

こう考えれば、こうだからね。

と、いきなり諭し始めても

ウザいばかりで、鬱陶しいのだ。

悩んでいるのに、

小難しい屁理屈なんて聴きたく

ない。

先ず理解しろよ。

心の内を察しろよ。と、

話しはそれからなんだから。

と、

 


いきなりパーソナルエリアに

入り込んで説教しても

全く受け入れてはくれない。

 

 

 

一晩中話しを聞いた。

「そうだね。」

「大変だよね。」

「頑張ったんだね。」

背中を擦り、頭を撫でて、

肩を抱いた。

兎に角、話しを聞いて何とか

理解しようと気持ちを

同調させる事に専念した。

 


夜が明けて、

舞台は彼女の家に移り、

彼女の部屋でまた再び

話しを聞いて一緒に泣いた。

 


なんとか救いたいとは思った。

可哀想だとも思った。

けれど、

しがない会社員なんかに

どうする事も出来ない、

解決なんて出来る様な

事案ではなかった。

不甲斐ない己れを恥じるしか

なかった。

 


だから、

「話し位は聞けるんだよ。」

としか応えを返せなかった。

「出来る限り話しは聞くし、

成るべく側に居て上げるから、

裏切らないから。」

等と約束を交わしてしまった。

 


あの場では、彼女に取って

それが一番の支えになると

そう信じて俺は、

彼女の目を見てハッキリと

言葉にして、

しっかりと指切りまでして、

約束をしてしまった。

 


その時点で俺は、

男としての下心等は

全くなかった。

かなり年下の憐れな女の子。

実際の年齢は、

女の子などと

呼べる年ではないのだが、

俺の目に映った彼女の姿は

悲しみに打ち拉し枯れて

自分の置かれた

立場に怯えている

幼い少女の様に

見えていたのだ。

女ではなく、

女の子に見えていた。

 


説得の義

 


彼女が言った。

生きて居るのが辛い。

俺は諭した

それは自然の摂理として

成立しない理論なんだよ。

 


辛いは、幸せなんだから。

辛いと感じられるのは

生きているからこそ。

 


生きている幸せと言う

おおきな括りの中の出来事に

辛いや痛いや苦しいがある。

 


だから生きて居るのが辛いは

あり得ないんだ

辛いのは生きている幸せの

一部分でしかない。

痛い、苦しいは生きて居るから

こそ感じられる幸せの感情。

幸せの中の一種類なんだよ。

 


生きるとは、太陽。

幸せとは、その

眩し過ぎる輝きであって、

光の源は心なんだ。

 


それじゃ、辛い、苦しいは

影なのかと言えば

それは違う。

辛いも苦しいも痛いも

光なんだ。

眩しくは光らないけど

生きている光なんだ。

鈍くくすんだ光だけど、

それでも陰位なら

照らせるんだよ。

 


一方、死はね。

闇なんだ。

全く何も見えない

闇なんだ。

自分が瞼を

閉じているのか

開けているのかすら

分からない真っ暗闇。

 


音もない、風もない。

ただ冷たく湿った

真っ暗闇の空間に

漂うだけの世界

手足だって動かない。

動かない事にすら、

気が付かないんだ。

だから、

動かそうとしないし、

動かせないんだ。

だって、

過ぎ去って行くはずの時間が、

体に纏わりついてしまうから。

 

 

 

そんな所に行こうとしたら

駄目だよ。

だって、

辛いって思えるのだから。

辛いのは嫌だって、

拒む気力が涌いて

来ているのだから。

 


それなら、

その辛さを俺と一緒に

拒もうよ。

 

 

 

実際には、

俺は何も出来やしないけど、

こうやって側に居る位は

出来るし、

話しを聞いている位は

いくらでも出来る。

 

 

 

心細いのなら、

こうやって、手を繋げる。

肩を抱いて上げられる。

 


支えて上げる。

なんて偉そうな事は

言わないよ。

力になる。

とも言えやしないけど、

 


少なくとも俺は生きている。

死のうともしていないし、

死にたくなんかない。

死んで行く人も見たくないし、

死のうとする人は

正直、

助けたくなんかないし、

助けられるとも

思ってやしない。

 


人の生き方に

ちょっかいを出せる

余裕なんて、

俺は持ち合わせていないから、

支えるだの助けるだの

偉そうな事なんか言えやしない。

 

 

 

でもね、

俺は、知って欲しいんだよ。

 


涙は悲しいから流れるんだ。

苦しいから流れるんだ。

痛いから流れるんだ。

辛いから流れるんだ。

それは、

生きて居たいから流れるんだ。

自分を助ける為に

流して居るんだよ。

 


桜は人に愛でられる為に

毎年毎年綺麗で見事な花を

咲かせて居る分けじゃない。

人の為になんか咲いてやしない。

己れの生き方を誇示する為に、

種子を遺す為に咲いている。

 


一年間のほんの数日間だけ

その枝の先々に小さな花を

幾つも幾つも見事に

咲かせては、

あっという間に散らし果てる。

 


明るく華やかで見事に

咲き誇っていた花を

一年の殆んどを堪え忍んで

咲かせた花を

なんの惜し気もなく

一瞬で舞い落としてしまう。

 


生きる為に

流さなければならない

必要な涙なんだ。

 


知っていますか?

あの桜の樹木は、

秋の木枯らしの時期よりも

冬の寒さを堪える時期よりも

春に花を咲かせなければ

ならない暖かな時期が

一番、

命を削っている季節なんだと

言う事を。

 


観せる為なんかじゃない。

ましてや、

飾りなんかでは、絶対にない。

辛くて、苦しくて、

生きる為に流す涙は、

桜の花吹雪なんだよ。

 


寄り添いと誘惑

 


彼女は都内の練馬区

独り暮らし用の小綺麗な

アパートを借りて、

時々、気分転換の

都会暮らしをしに来ていた。

そんな関係もあり、

横浜に住んでいる俺との

アクセスは、

彼女の実家と比べれば

かなり便利であったので、

仕事帰り等には、

なるべく顔を出して

一緒に食事をしたり、

その後にお酒なんかを

飲みながら

話し相手になっていた。

 


その甲斐もあってなのか

彼女は、それなりに元気を

取り戻したかの様に

見受けられた。

 


そんなある日だった。

いつもの様に仕事帰りに、

彼女のアパートに寄って、

何処かで夕食でも食べようと

彼女を誘ったのですが、

「今日はそんな気分になれない」

と言って、

一向に立ち上がろうとは

しないのだ。

理由を尋ねても、

「だって」「だから」と

的を射ない。

しかし、

彼女は直ぐにでも外出できる様に

しっかりと化粧はしている様には

見えていた。

だが、服は、、、

ちょっと外出するには、

薄着なのかな?

と言うよりは、露出が多くて

明らかにセクシーなのだ。

(どうしたの?

  また落ち込んでるの?

取り敢えず、着替えて

     出掛けようよ。)

「今日は部屋に居たいの」

玄関から真っ直ぐ伸びる廊下?

の先にあるリビングに

立ったままで彼女は応えていた。

 


一向に出掛けようとしない彼女と

玄関口で押し問答を繰り返して

いてもラチが明かないので、

俺は彼女の居るリビングへと

入って行ったのだった。

 


頻繁に訪れているとは言え

なんと言っても年頃の女性の

独り暮らしのアパート。

いつもは玄関口で声を掛けて

誘い出し、食事と飲みに出掛ける

のがほとんどだった。

たまには上がり込んで長時間

話す事もあったが、

それは俺が仕事が休みの日の

昼間の事で、

今日の様な、夜も8時を過ぎた

時間帯に、アパートに

上がるのは始めてだった。

 


(どうしちゃったのさ、

出掛ける気にもならなく

なっちゃったのかな?)

俺は彼女の着ている服に目を

奪われてしまっていた。

彼女がいつも着ている服とは

明らかに趣味が違っていたのだ。

普段は仕立の良い、

清楚な雰囲気のおとなし目な

ファッションをしていたのに、

今夜は、体のラインを

強調するかの様なサテンか

シルク地の、胸元が大きく開いた

ワンピース。

と言うよりは、ドレス的な服を

着ているのだった。

 


そして、リビングのテーブルの

上には、どこからか取り寄せた

と思われる様な、オードブル風の

料理とビールやワインが用意して

あった。

(あれ?今日は何かの記念品

だったっけ?

えぇーと、誕生日じゃないよね。)

その問いには応えずに彼女は、

紅すぎる唇を震わせながら、

俺の一本二千円のネクタイを

掴んで引き寄せ、

鼻に額を触れさせながら

「もう、話す事なんてないよ。

私を思ってるのなら

もっと………」

喉元に吐き出される吐息は熱く

荒かった。

彼女からほんのりと沸き上がる

甘い香りと温かな体温が

女の欲情を感じさせている。

 


何度目かの食事の後だったかは

覚えていないのだが、

別れ際に妙に愁いのある視線を

投げ掛けだし始めて居るのには

なんとなくは気が付いては

いたのだが、

 


取り敢えず俺は既婚者で、

妻とは上手く行っているし、

その説明は何度も話しては

あった。

つまりは、男女の関係には

なる気はないし、

俺は貴女に女としてのスケベ心は

抱かないよ。

と何度も言って聞かせて

いた筈なのだ。

 


それに対して彼女も、

笑いながら、

「こんな、

おじさんに抱いて貰う程

落ちぶれてないしぃ~っ。」

と、おどけていた筈だった。

 

 

 

彼女の腕が背中に回され、

その顔が少し上を向いた。

睫毛越しの頬にはチークの

粉っぽさがライトで浮かんで

見えていた。

間近で見るアイラインが

いかにも不慣れで左右の太さが

違っている。

顎を上げて唇を寄せながらの

まばたきで頬に風を感じた。

 


ぎこちなく震えている唇は

油っぽくぬるっと温かくて

独特な薬品臭さがあった。

決して美味しくはなかった。

何故だろう、彼女の鼻息を

鼻に感じていた。

 


引き離そうかと考えていた。

このままでは、行き着く所まで

行ってしまう。

この胸板に押し付けられている

柔らかい膨らみを両手で

押し返せば、一線を越えずに

済む筈。

この、艶々とした何かの花の

香りのする黒髪を鷲掴みにして

振り払えば、この女は諦める筈。

頭の中で何通りかのブレイクが

よぎっていた。

しかし、幾つもの拒絶とは

裏腹に俺の体は彼女の腕に

抱かれたままで、

ただ唇を奪われたままで

動けなかった。

気持ちは冷静に状況を判断

していたのだが、

拒否る行動が起こせなかった。

いや、起こさなかったのだろう。

 


彼女は立ったままで、

背伸びもせずにキスが

出来る身長をしていた。

強く抱き締める腕が肩と脇を

通して背中に回っている。

腰から撫で上げて行くと

しっかりと細く括れた

エストラインが手のひらに

絡んで来る。

押し付けているおっぱいが

大きく開いた胸元で見事な

盛り上がりを見せている。

 


この体は確実に、

いつも抱いている、

あの体より"いいおんな"だった。

明らかに若く、柔らかく、

しなやかで、張りがあった。

 


事と貧乏人

 


両腕が肩に乗せられて、

俺の右手がファスナーに

掛かっていた。

摘まむ部分に指先が触れると

大した力も入れていないのに

スルスルと滑る様に

しっとりとした下ろし心地が

愉しかった。

きっと、

かなりの値段がする

ワンピースなのだろうな、

などと思っている間に、

彼女が腕を下ろし、

次の瞬間には、

軽やかに肩からスルリと

落ちてしまった。

 


そこに現れたのは

一糸纏わぬ見事な裸体。

下着も着けずに

ワンピースだけを身に

纏っていた。

このシチュエーションを

彼女は、

いったいいつ頃から

思い描いていたのだろうか?

余りにも大胆なこの演出は、

この女が考えた舞台なのだろうか。

こうすれば、

必ずスケベであろう

俺は簡単に落とせると踏んでの

計画だったのだろうか?

 


まんまと術中にはまった

馬鹿な男は、

成す術もなく

豊かな胸を揉みし抱き、

大きく口を開けて、

その頂点になぶりついていた。

右手はツルリとした股間

まさぐり、

左手で背中を押して乳房を

強く口に押し付ける様にして

頬張っていた。

 

 

 

自粛

 


中略

 


18禁

 


過激描写を通報された前科者なんです。

 

 

 

「した事がないから、

ダメな事をしたら言ってね。」

余りにもぎこちない、

ただただ一生懸命で、

俺の様子を見ながらの口。

おっかなビックリの舌先が

居場所に戸惑いながら

絡みついて来る。

手の置き場に困っているのか、

太股に置かれたかと思えば、

自分の頬に添えてみたり、

親指と人差し指で輪を作り

根元を支えてみたり。

その仕草を見ていると

変な微笑ましさと

笑ってはいけない可笑しさが

込み上げて来て、

淫靡な秘め事が、

こんなにも

ほのぼのとしてしまうなんて

事の目的など全く要をなしては

いなかった。

 


彼女は今までいったいどんな

性生活を送って来たのだろうか?

よもやまさかの

処女などでは、、、

そんな筈は、あり得ない。

あの誘惑の手練手管は

処女の成せる業ではありえない。

でも、

俺はこの流れに乗ったままで、

入れてしまって良いのだろうか。

一抹の不安を余所に、

意外とあっさりと

致してしまった。

 


それからの関係は、

会いに来て欲しい。

の連絡は、

すなわち抱いて欲しい。

の同意語となり、

会えば必ずセックスを

交わす関係に

なってしまっていた。

 

 

 

彼女は莫大な資産家だった。

その為に、

その金銭感覚は

サラリーマンの俺には

全く理解が出来ない

異世レベルで、

いとも簡単に、

新しいマンションを購入して

しまうのだった。

 


当時の俺の勤務先は中央線の

四ッ谷で、自宅は横浜。

彼女の住んで居たのは

練馬区の江古田だった。

俺が会いに行くには、

二回の乗り換えが必要で、

時間的なロスが多過ぎる。

と言う理由で、

「もう少し交通の便が

良い場所に住み替えをしたいな」

と、さらっと言い出した。

ならば、

俺の通勤経路上の

ターミナル駅にしようと

言う事になり、

始めは横浜に住むとか

言い出していたのだが、

そこはそこ。

俺の生活圏内では流石に友達や

知り合いも多いので、

迂闊には出歩けなくなるし、

彼女の実家からも、

更に遠くなってしまう。

 


ならば、

仕事終わりに連絡を

入れてからタイムラグが

少なくて大都会となれば、

新宿が良いのではないかと、

安易に口にしては見たものの、

新宿に住もうなんて、

一般的な庶民ならば絶対に

考えはしないだろう。

今住んでいる江古田の

アパートでさえ、

大卒の初任給を軽く越えている。

それと同じ間取りで新宿に

住もうとしたら、

2倍近くの支出は

考えて置かなければならない。

 


二人でぶらぶらと、

デートとも着かない街歩きを

しながら、

探すともなく

新宿の街を散策していた。

そんな最中に、

ふと目に入ったお洒落な建物。

 


俺は単純に憧れも含めて、

夢を見る様な冗談で、

見上げたマンションを指差して、

「こんな所だったら

文句ないよね。」と、

話したのだった。

それから数日間が経ち、

「あちらこちらに連絡を取ったよ」

と電話が入り、

「賃貸物件は下の階層だけで、

分譲は20階以上の階層なん

だって。どうする?」

俺の感覚的には、

ちょっと背伸びをして

お洒落なクローゼットや

ダイニングテーブルでも

選んでいる程度の相談を

されているかの様な迷い方に

聞こえた。

それから、

あれよあれよと話しが進んだ。

「あそこに決めたから。

あそこだったら駅からも遠く

ないし、

貴方の通勤経路だから便利

でしょ。」

 


億とまでは

行かないのだろうけど、

それなりの金額は掛かる筈だ。

悲しいかな、

幾ら位する物なのかの

見当さえも全く付かない俺は

下々の庶民だった。

言葉は悪く、

表現も間違って

いるとは思うが、

俺は彼女が化け物の様に

思えた。

 


一緒に食事に行く場所と言えば、

ファミレス的な、

どう頑張っても一人五千円

などは絶対に使わない

庶民の食事処や居酒屋、

焼き鳥屋。

俺の財布に合わせた

リーズナブルな場所にしか

行っていなかった。

 


改めて彼女の持つ財力の

恐ろしさを見せ付けられた様な

気がした。

と、同時に、

その時に動いたであろう金額は、

俺の心ない安直な独り言が

彼女の気持ちを動かして

しまった為に使ったお金である

事が恐かった。

 


金銭感覚が違う。

 


この違いは、

言語や人種や国の

風習の違いがあるのと同じ位に

異世界感覚がある。

コンビニで焼き肉弁当にするか、

ミートソースのパスタにするか。

50円の金額の違いで、

飲み物がペットボトルになるか、

紙パックになるか。

色々と悩んで考えて計算をして、

決断をする。

少なくとも、

俺の身の回りの知り合いは

そんな迷いを当たり前に

している。

50円と100円の違いは

大きいのだ。

お値段以上のニトリの家具を

買う様な感覚で、

数千万のマンションを気軽?に

買ってしまう人種は

もはや、

異世界から召喚した魔法使いの

様なモノ。

自販機の取り忘れの

お釣になんて決して喜ばない

人種なのだ。