toshimichanの日記

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家族葬

この頃、

人が亡くなると家族葬

言うのが流行っている。

と言うか、このご時世なので、

人が集まる事は避けられては

いるようですが、

世界がそうなる以前からの話しです。

 


昔は、家族や身内が亡くなると、

その家族は訃報を誰に、

どんな関係の人までに

知らせるのかを相談したり、

アドレス帳や手紙、年賀状とかを

探してまで通知をしていた。

 


亡くなった本人の意思ではなく、

身近な身内が慌てて調べた結果の

判断で出された通知は、

その間柄も分からずに、

成るべく多くの知人や

知り合いにお知らせ

しなければと訃報を送っていた。

 


その為に、余りにも関わりが

希薄だった人にも通知が届いて

いたりして、通知を頂いた方は

お通夜や告別式に

参列するかどうかの判断に

迷ったり、香典の金額を考えたり

と困ったりもしていた。

 


また、訃報を受け取った人の

方も自分の過去の身内にお通夜と

告別式に参列された方々の名簿?

の中から、その訃報本人を

探したりして、相手に対して、

失礼のない様にと、

義理を欠かない関係を保っていた。

 


それに比べて現代の家族葬は、

少ない人数で小ぢんまりと

行われてしまう。

参列者は、一親等二親等。

親兄弟叔父叔母の身内だけ。

訃報もほとんど送らない。

その人の死を知らせないのだ。

 


俺は何が言いたいのかと言うと、

 


俺の家の二軒隣には、

小中学校の9年間を一緒に

遊んだり、学んだり、通ったり

した、幼馴染みが住んでいた。

「いた。」の過去形。

高校が別になり、俺は大学で地方に

行ってしまったり、

それから暫くは、家には戻らな

かったりしてて、彼と会う機会は

激減していたが、

なにせ近所に住んでいる幼馴染み。

たまには道でばたったりと会って

立ち話などをしていた。

なにせ幼馴染み、

幾つになっても気心の知れた間柄。

おはよう御座います。

なんて挨拶なんかしやしない。

「よう」「おう」で話し出す。

何年ぶりだろうと、幾つになっても

幼馴染みは変わらない。

 


そんなだったから、彼の事などは

気にも留めていなかった。

 


まだ結婚はしないのかな?

今年のお祭りには、顔を出すかな?

車を新車にした見たいだな。

位にしか気にしていなかった。

なにせ幼馴染み。

別段、わざわざ話をする様な事も

ない、当たり前に近くに住んでいる

友人なのだ。

 

 

 

全く意識をしていなかった。

いつまでも変わらずに、

お互いに歳を取りながら

彼は二軒隣で

暮らして行くのだとばかり

思っていた。

 


そんなある日。

町内の集まりに参加した時の事。

知り合いとの話しの流れの中で、

○○死んじゃったじゃん。

 


何を言っているんだ?

○○が死んだ?

しかも、

もう3年も経ってるって?

 


俺が知らない筈は無かった。

だって、

大声で叫べば、

声が聴こえる距離の二軒隣。

おじさんもおばさんも

今では余り付き合いは無いけれど、

道では何度もすれ違って、

挨拶はしていた筈だ。

 


えっ!えっ?えっ!

俺は家に帰る前に○○の家に

寄った。

 


他人の家ではない。

子供の頃から何度も何時間も

上がり込んでは、ご飯を食べたり

遊んだり、迷惑を掛けたりしてた

勝手知ったる幼馴染みの家。

たった二軒隣の家。

 


「ねえ、○○ちゃん何時死んだの?

何で死んじゃったの?

本当の話しなの、おばさん。」

 


かなり怪訝?な困り顔をしていた。

 


家族葬だったから、

近所にも話はしていなかったのよ。」

 


確かに家族じゃないよ、俺は。

もう十何年間もまともな会話はしてないし、友達って言うより幼馴染みなだけなのかも知れないよ。

それでもさ、、、

 


3年以上も経ってから、

仏壇の幼馴染みの写真に手を

合わせてるのって、

酷過ぎないかな?

なにが?って聞かれても

分からないけど、

知らなかった自分に

腹が立っていたのかな?

 


居なくなるって予定は、

俺の中にはなかった。

長男だし、おじさんもおばさんも

まだまだ元気なんだし、

結婚したとしても、

そこに住むのだろうと、

その子供達なんかにも、

学校行事で会ったりして、

挨拶とかする事もあるんだろうな

って、考えるでもなく、

近所の幼馴染みとして、

当たり前の様に思っていた。

 


その予定の中には、

こんな年齢で亡くなるって言う

予定などは、全くなかったし、

それを、何年間も知らずに

過ごすなんて思ってもいなかった。

 


そっか、、、

家族葬だったんだね。