いつかきっと他に誰かが現れるよ
その傷を癒せる相手は絶対に居る
なんて励ましの言葉を俺は言えない
深く心に刻まれた
大切に美化されてしまった
想い出に勝る人なんて
何処にも居やしない
それが例え想い出の
本人だったとしても
抱いている想いを超える事なんて
とても出来やしない
それが過去なんだ
それが時間の冷酷さなんだ
確実に時は降り積もり
二人は一人と一人として
生きて過ごしてしまった
大切に温めて育ててしまった
過去は美しく削ぎ落とされ
誰の想い出でも無くなっている
その偶像崇拝は自身の首を
締め付けている事に
気が付かなければ
その場所からは一歩たりとも
身動きなんか取れやしない
時が想い出を風化してくれるのを
ただじっと待って居るのでも良い
足掻いて誰かと付き合ってみるのも
良いのかも知れない
けどその場合は
当然の様に上手くは行かないし
慰めにもなりはしない
そして何よりも
相手を傷付けているリスクを
自覚していなくては
支払う代償も少なくはないはず
抜け出すには
全てを受け入れるしかない
美化してしまった想い出も
絶対に逆戻りはしない時間も
惨めに傷付いている自分も
なにもかもを
それが今の自分自身そのもの
であると認めるしかない
対峙して把握して見つめる
自分の今の形を確りと自覚する
それは
並大抵の辛さや痛みではない筈
だけど
そこに立っている自分が
見出だせなければ
その場合からは抜け出す事など
絶対に出来はしない。
