toshimichanの日記

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羅列詩 2

弱すぎる己れの心を殴った拳

 


蒼痣の痛みに耐えながら

 


スマホの連絡先を

 


消そうとしたのに

 


開いたアイコンが

 


微笑み掛けやがる。

 


途端に瞳の表面に

 


涙らしき熱い揺らぎ

 


俺はどうして

 


こんなに弱虫なのか

 

 

 

言い訳を探してる真夜中に

 


余りにも苛立たしく

 


月が笑ってる

 


まだ生温い南風が

 


酷く痛かった。

 


大きなマグカップに、

 


並々と注いでしまった

 


ブラックコーヒーの

 


湯気を吹き飛ばしたら、

 


ゆらゆらといびつな月が

 


浮かんでた。

 


クラゲのごとき白いまん丸に

 


唇を寄せて飲み下せば

 


喉元を熱い十六夜(いざよい)が

 


降りて行く。

 

 

 

ため息に、ため息が重なり

 


肩に乗せらた後悔が

 


重みを増して、

 


「バカだな」と一言呟く。

 


満月を過ぎた月は

 


欠けさらばえるのみの身。

 


新月まで削り痩せ細る心。

 


月の無い夜空ほど

 


背中の重い景色はない。

 


それが分かっていても

 


星空に探す惨めな彷徨に

 


浸る俺は言い訳を失くしてる。

 

 

 

長い時間眠っていた筈なのに

 


目蓋が重く熱っぽい。

 


思い返す不甲斐なさで

 


起き上がれない昼下り

 


電池切れのスマホを握り

 


己れの正当化を計る

 


消し損ねている筈の記憶も疎らで

 


暗い画面は何も応えてはくれない。

 


慰めてくれるのは

 


カーテンを突き破って

 


射し込む陽射し

 


窓際の花瓶には

 


あの娘が好きだった花が

 


凛とした佇まいのままで

 


枯れ果てて

 


俺を見下してる。

 


あんな物さえも

 


棄てられないなんて

 


なんて意地汚いんだろうか。

 

 

 

ヤカンからたち昇る湯気の音、

 


赤いきつねに追い立てられて

 


フィルムが破れない俺

 


火を消しても沸騰は熱湯なのに

 


何故かその数秒が許せなくて

 


指先に苛立ちが集中してしまう。

 


乾いた麺のカサカサが

 


妙に軽くて情けない。

 


もしかして中に居るのは

 


俺自身なのかも知れない。

 


そんな思いに怯えながらも

 


揚げで弾かれる熱湯が

 


元気で健気で羨ましくて

 


反り返る蓋にも

 


微笑む始末。

 


俺は、

 


なんて小さいんだろう。