toshimichanの日記

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溜め息讃歌

膝をに視線を落とし
「運がわるかったのかな。」
項垂れて髪に隠された口元から
零れ堕ちた君の溜め息を
思わず手の平で受け止めた

ずっしりとした溜め息の重さに
たじろぐ自分の非力さを
思い知らされた

掛けるべき言葉を
あれこれ、あっちこっち
探してみても
こんなちっぽけな俺なんかじゃ
そんな引き出しなんて
ありはしなかった

だからせめて
こうやって君の隣で
零れ堕ちて来る溜め息を
黙って受け止めているよ

俺がここに居る事に
君が気付いてくれるまで
いつまでもずっと







「ねぇ、月が出てる。」
正直に言ってしまえば、
こんな夜明け前に、
わざわざ窓を開けて、
凍り付いた鋭い外気には
触れたくはなかった。

「・・・あ・い・た・い。」

何を、どんな話しをしていたとしても
結局はそこに辿り着いてしまう事は
最初から解っていた。

「不思議だよね、
あんなにも遠い夜空に浮かぶ
同じ月を、二人で見られるんだよ。
こうして声だって聞けるのに、
私の側には貴方はいないんだよ。
遥か遠くに浮かぶ月でさえ
二人で見えるのに、
ほんの数百キロの距離しかない
貴方を見る事が出来ないんだよ。
貴方はあれよりも遠い所にいるの?」

こんな時間に電話を掛けて来て、
寒空の月を見ろだの、
暗い声で会いたいだのって、
いやいやめんどくせぇな。

「ふぅ~ぅっ。」

二人、同時に吐いた溜め息で
二人のスマホが同時に、
ズッシリと重くなった。







向かい合って、
ただ座っているだけなのに、
どうして、
焼き過ぎた焼き肉の様な
黒ずんだ二枚の肉片の間からは
透明な肉汁が滴り出して来る。

これ以上放って置いたらきっと
焼き過ぎた肉片は
強制的に食べさせられるのだろうな。

たまには、
マリネされたピンク色の
サーモンが食べてみたいんだけどな。


やっぱり下ネタかよ!

ふぅ~っ。。。







僕はこんな鮮やかで
暖かな彩りをしている花に、
いつか何処かで
出逢っていたような覚えがあったんだ。

その遠い記憶をなぞるように
呼び覚ましてくれたのは、
その花から微かに香る
優しく甘味を帯びた
遠い昔の思い出だった。







汗まみれの白く柔らかい躰が
震えながら覆い被さり抱き着いて来る。
熱っぼく力を失っている躰は、
雌の本能に突き動かされながら
無心にそれを求め蠢いていた。

「中に、奥に、、、出して。」

諭しなのか願いなのか、
はたまた手段としての
既成事実が欲しいのか。

ねっとりと射し込まれる舌先で
本音なのかは俺の耳では
聞き取れはしなかった。







摘まんだ糸は絡んでいた糸。
引く力加減を誤って
幾つかのわだかまりのコブを
こさえて苛ついて、
添えてくれた温もりさえも
振り払った。
ぐちゃぐちゃに絡まった糸を
丁寧に読み解いて
一本づつ摘まんで解きほぐし、
綺麗に束ねる事が
二人にはできたはずなのに。
ふぅ~っ。。。