toshimichanの日記

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砕岩師

やれやれと思ったのは、それは厄介とか面倒と言う意味ではなく、彼女のそのあっけらかんとした仕草と笑顔がこれからする事に対しての言動とはそぐわない女だなと、ちょっと呆れたからだ。

「お帰りなさい。」

「いや、違うしっ、帰る家は別にあるんだしっ。」

お互いに軽口を叩きながら、肩に手を添えて軽く唇を重ねた。

決して濃厚なキスではなく、ちょこんと唇が触れ合う程度の軽い挨拶の口付けだった。



もうすでに彼女の下半身はすっぽんぽんで上には明るいピンク色をしたモコモコのモヘアだけを着た姿で、分厚いバスタオルを何枚も一抱えに抱いて満面の笑みを浮かべ嬉しそうに準備を整え様としていた。


連絡を入れたのは、仕事終わりの駐車場からだったので、あれからまだ小一時間しか経っていないはずなのに、彼女はもう既に洗い髪からは甘いシャンプーの香りを漂わせ、シャドーやラインまでしっかりとした化粧を終えた感じで、付け睫をパタパタさせながらこれからまぐわう為のベッドに防水の準備をする事に余念がなかった。


ブルーシートをシーツの下に敷き、バスタオルを何枚も重ねて敷き詰たりして、忙しなく動き回るその仕草の合間には、もう既にねっとりとした透明な愛液が零れ出している秘部をおもむろに露出させながらも、鼻唄を歌っている。


一見すると上半身は、今すぐにでも出掛けられる位にお洒落をしているのに、何故か下半身はすっぽんぽんの姿で、もの凄く違和感を感じざるを得なかった。

「あのね、俺としては下半身を露出されるよりも、おっぱいを真っ先に拝みたいんだけどな。」

「おっぱいなんて何時でも好き勝手に出来るんだよ。
毎日ここに帰って来れば触りたい放題なのに、全然帰って来ないのは貴方なんだからね。」

「でもさ、俺が来るって分かっていながら、そのスタイルはないよね。
二人っ切りで過ごしている時間におっぱいを隠しているなんてのは、実にけしからんのじゃないかい?」

「これから好きなだけ自由に玩べるんだから、支度をしている間の少し位は我慢してね。
私だってさ、会いたいのをずっとずっと我慢してたんだし。
さっき連絡を貰った時には、嬉し過ぎて嬉ション漏らしちゃったんだから、私の方がスッゴく我慢してるんだからね。」

そんな不満を口にしながら彼女は、行く筋もの傷痕がクッキリと印されたプリンとした可愛いお尻を振りながら楽しそうにベッドの四隅の足に真っ赤なロープをくぐらせているのだった。



ついさっきまで、多少は明るかった筈の西の空はすっかりと戸張を下ろし、触れてしまうと手が切れそうな位の薄く鋭い月が金星を威嚇しているかの様に輝いていた。


前回の行為からもう二週間が経とうとしていた。
火傷を負わせた筈の内腿の付け根と言うよりは大陰唇はかさぶたが剥がれたばかりの皮膚が生々しいピンク色をしていて、恐らくは、普通に歩く時ですら腿と腿が擦れ合って痛かったに違いない。

テラテラに濡れそぼったピンク色をした二葉の花弁は、小さく寄り添いながら合わさって、外側の肉面には前回の行為後のダメージは無さそうに見えていた。

「ねぇ、もう治ったの?痛みは引いたのかな?」

「痛くなくなったから寂しくて仕方なかったんだよ。
ちゃんと、いつまでも貴方の存在を感じられていられる様な傷を負わせてくれなくちゃ、私は生きていけないんだからね。」

自分の体を傷付けて欲しいと、向かい合って真顔で真剣に哀願する時の彼女の眼差しから俺は逃れる事など出来なくなってしまっていた。

ついさっきまで、鼻唄を歌いながら浮かべていた笑顔の彼女からは、到底想像が着かない血盟の意志が固められた、強かな表情で俺を脅しているかの様に睨み着けるのだ。

こんな関係をここまで続けて来てしまった俺に全ての責任があるのだと自覚はしているのだ。

俺自身に彼女の内に秘めた真性のマゾ体質を見抜くだけの技量がなかった為に、ズルズルと深みにはまってしまって、今ではすっかりとサドとマゾの立場が逆転してしまった感が否めなくなってしまっている。

当然、俺は身体を預けられて彼女に対して加虐を強いてはいるのだが、今となっては、実質上その主導権を握っているのは、間違いなく彼女の意思によるものだった。

勿論、その加虐の程度や力加減や彼女の限界を見極めているのは俺で、そのメニューやスタイルを選んでいるのは俺自身なのだが、その行為の終了後に反省会を開ける程の体力を彼女に残してしまうと、俺の見極めが甘ったのだと不満を語られてしまうのだ。

兎に角、俺に説教するだけの体力を残さずに、ギリギリの線まで追い込まなければ、彼女には遺恨が残ってしまう様になってしまったのだ。

会えないと言う彼女の内に蓄積されて行くストレスが、着実に堅められて、頑強な岩の様な塊になって臍下三寸に性欲として構築されてしまうのだ。

その欲望が成した巨岩の全貌を俺はまだ把握出来てはいないのだが、この明るく楽しそうに笑う、可愛い彼女の本質がこれ程までに醜いモノだったとは誰が予測できただろうか。


会えていないのは、実質的には二週間程度なのだが、この「会う」と言う単語の表す意味とは、実質上の「行為」を実践するだけの時間を二人が持てた事を言い表わしているだけで、その途中途中では、ほんの一~二時間程度のデート的な会瀬の機会は設けているんだ。

しかしそれは、彼女の感覚からすれば、「会っている」には相当せず、彼女の言い表わす「会う」とは、半日以上の時間を掛けた残虐な行為を彼女の躰に対して俺が施してこそ、始めて会ったんだと表現しているのだ。

彼女が内に秘めている巨大な岩石の様に凝り固まった性欲を、俺はこれからもコツコツと削り落として行かなけれはならないのかと思うと、彼女のこの可愛いらしい瞳の輝きが、獲物を狙う大蛇の視線にロックオンされている気分になってしまうのだ。




なんだろうなぁ、ストーリーの構成とか、起承転結をちゃんと組み立ててから書けば、少しは物語として増しにはなるんだろうけど、どうにもこうにも思い付きでしか書かない無計画な奴なんだな、俺は。

ごめんなさい。
書き散らかした屑文章のゴミ捨て場の様な使い方しかしていない事をお詫び致します。