toshimichanの日記

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野獣の如く

当たり前ではいけない日常を手に入れてしまった罪悪感から逃れ様として俺は、彼女の体を必要以上に苛み求めてしまっていた。

いつも以上の激しさに彼女の身体が軋んでいる手応えが伝わって来ている。

こんな暴挙を彼女に与えてはいけないと、

自制する声が心に響いているのに、攻め立てる腕はその動きを止めなかった。

きっと、痛く辛いのだろうと思う反面、面白い様に俺の動きに反応を示し、嫌がらずに受け入れてくれる彼女の激しいイキ様が俺の行為を止めなかったのだ。

どれだけ傷付け様とも、決して拒まずに、俺の成す全てを無抵抗で受け入れてしまう彼女の持つ信頼感は、己の成している悪行とは言え、恐怖すら感じてしまう。

それは決して愛などと呼んではいけないのだ。

こんな形での愛なんて存在は許されてはいけないのだ。

いったい彼女の何処が限界点なのか、狂気に支配されている俺にはとても見極めは着けられない状態なのに、彼女はその身を庇う事なく無意識に晒し俺にその裸体を預けて来てしまう。

俺の手加減を失った残虐な暴力を胎内に受け止めながら、苦しみとも着かぬ快楽の火中で苦しみもがきながらさ迷い歓喜している。

視点を失った瞳が宙を漂い、時折大きく目蓋を見開いては、白目を剥いている。

彼女の五指に力が込められ、何もない空を掻き毟ったり、シーツに爪を立て鷲掴みにして引き寄せては噛み締めたりしている。

首筋にくっきりとした動脈を浮き上がらせながら仰け反り、天に向かって大きく顎をしゃくりあげて、喉の奥から吐き出す様に排気される呼気の炸裂音。

その直後に起きる腹筋の脈動と下半身の細かな痙攣。

黒い瞳が上目蓋に隠れて白目になり、顎がガクガクと震えている。

もう既に声とは呼べない、潰れた喉の置くから吐き出される獣の様な叫びは、とうやら俺の名前らしいのだが、掠れ過ぎていて聞き取れはしない。

こんな凄絶で無惨な姿になり果てていても尚、止めようとする俺の気配を覚ると、艶を失った黒髪を顔面に貼り付けながら首を激しく左右に振り拒絶を示すのだった。

いったい、彼女は何処まで自分の苦む姿をこの俺に見せ付ければ満足するのだろうか。

いったい、この俺はこの彼女をどれだけ破壊しなければならないのだろうか。

乱れた髪に隠されている、トロンとした眼差しが一瞬にして鋭さを取り戻す。

汗なのか、唾液なのか、鼻水、涙。

あらゆる体液でびしょびしょに汚れた顔に、グシャグシャな髪の毛の固まりが乱雑に絡み付いて、あの普段の可愛い笑顔からはとても同一人物とは思えない化け物じみた疲れた表情で威嚇するかの様に睨み付けて来る。

躰はとっくに限界を越えて、身を起こす体力すら残ってはいない癖に、眼差しだけはギラギラと輝かせ、まだまだと言う意味を込めて小首を振るのだった。