toshimichanの日記

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コロナ事変 4

そんな生活環境の変化をひろみに話をしているのだが、俺の行動パターンが変化をしたと言う事は理解してくれているらしい。

しかし、これまでのひろみの人生に於いて、労働により賃金を貰うと言う、いわゆるバイトや会社員などの賃金労働経験が全くないお嬢様には、この人生の不公平感はいくら説明をしても細かい気持ちの変化は伝わり難いのだ。

 


不満があるのに、何故そこで働かなくてはならないのかを、物語や小説、ドラマとしては理解できても、現実問題として捉えられない浮世離れした生活感を持っている女性だった。

 

 

 

 

 

 

 


だがそれは、一方では大きな不満を蓄積させてしまっていたのだった。

俺の生活が変われば、彼女の生活にも多大な影響を及ぼしていた。

 


そう、それまでの俺の行動を正確に把握していたのは彼女だけだった。

しかし、この一年間での判で押した様な正確な行動パターン。

ある意味で、全くの自由な時間が失われてしまったのだった。

出張族の頃の俺は自由に時間を使い、好き勝手な行動が取れてたので、彼女との連絡も密に取る事が出来ていたのだが、今は連絡すら自由には取れなくなってしまっている。

詰まりは、ここ一年間に於いて俺と彼女との関係はかなりの疎遠になってしまっているのだ。

 

 

 

彼女の思っている俺の存在価値と、俺の思っている彼女の存在意義のベクトルが違った方向を向いている。

相手を必要としているか否か。

私の日々の生活の中には、何時も側にはいてくれない貴方の影が常に存在していて、心の中での主な話し相手は自分自身とそこに居ない貴方だと言われた。

何時も側には居ない俺は、何時も心の中では話し相手になっていて、買い物をする時や何か考え事をしている時。

迷ったり辛かったり楽しかったり、笑ったりしている瞬間瞬間に俺の顔が浮かぶらしいのだ。

恋愛感情なのかと自問しても、それにははっきりとした自覚はないらしいのだが、存在としては必ず実在して、現物として体温のある男としては常々捉えていたいのだそうだ。

 


一方、俺に取っての彼女の存在はと言えば、雑把な考えとしては贅沢な相手なのだ。

いわゆる勿体無い。

俺には似つかわしくない、別世界を生きている異生物にすら思える瞬間すらあったりする程の飾られた綺麗なお嬢様。

まぁ好きであるのは認めざるを得ないのだが、彼女が必ずしも必要な相手なのかと問われれば、重要度は残念ながら低いとしか言えないのが現在の俺の中の彼女の立ち位置になってしまっている。

 


居なくなってしまうのは、絶対に嫌だと声を荒げて拒否する彼女。

いつも側にいてくれないのは不倫しているのだから仕方ないし我慢できる。

本当は常に一緒にいたいけど。

頻繁に会えなくても仕方ないんだと諦めてはいる。

それは、いつかは会えると分かっているからこそ我慢が出来るし、次を楽しみにして待っていられる。

だけど、別れてしまえば、繋がりが途絶えてしまう。