toshimichanの日記

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なんでもない昼下がり

明け放った窓から
5月の乾いた風が吹き込んでいた。

オレンジ色を基調にした
明るく暖か味のある
色彩のカーテンが
フワリと風を孕み、
途切れ途切れの陽射しを
寝転んでいる彼女の寝顔に
輝きを届けていた。

閉じた瞼をくすぐるように
前髪がユラユラと揺らされて
気持ち良さそうな寝顔が
眉をひそめるような
ちょっと不機嫌そうな顔に変わった。


何をするとも
予定を立てていなかった休日の
昼下がり。

お昼までベッドの中で
思う存分に愛し合い
疲れ果てて、微睡んで、
空腹に襲われたので昼食を食べた。

二つの欲望を
十分に満たされた彼女は
三つ目の欲望に
なんなく飲み込まれ
今では
無防備に寝息を立てている。

少し暑いくらいの
5月の陽射しの中
ベッドの上
ほぼ半裸の姿で
気持ち良さそうに眠っている。


食器を洗い終えた俺は
そんな彼女の寝姿の
直ぐ横に座って眺めていたんだ。



なぜこんなにも
愛おしいんだろう。



俺は今、
自分が、
一番自分らしい姿をしているんだと、
改めて感じている。

見栄も張っていなければ
強がりもなく、
飾る所もなければ
隠す事もない。
構えもしなければ
脱力もしていない。
ただ、
この彼女を愛している
一人の男として
この彼女の側で
自然体でいられる自分を
噛み締めている。

心の奥底から沸き上がってくる
えもいわれぬ
この幸福感は
いったいなんなんだろうか?


自分を自分らしいと
発見させて、
自覚させてくれる彼女。

素のままの
どこにも変な力の入っていない
自然体の俺でいさせてくれる彼女

こうして、何もせずに
ただ側に座っているだけなのに
こここそが俺の居場所なんだと
妙な安堵感が沸いて来て、
彼女の寝姿に
愛おしさが込み上げて来る。


この可愛いらしく眠っている彼女を
ぐちゃぐちゃに
抱き締めたくなる衝動を
抑えている俺がいて、

食後の
また復活して来た欲望で
めちゃくちゃにしたくなっている
俺がいるんだ。

だけど、その反面、
いつまでも、いつまでも
この穏やかで安らかな寝顔を
守り続けていたい気持ちを持った
優しさ溢れる俺もいて
反発しあっていて
心が掻き乱されたりもするんだ。

多分、それは
どちらも自然体の俺なのだろう。



そのどちらを選んだとしても
それをそのままの俺として
受け止めてくれる
全ての俺をすっぽりと
包み込んでくれる
彼女の比類なき愛が
あるからなんだろうなと
感じているんだ。


この彼女で良かった。

この彼女に出逢えて
本当に良かったと、
無邪気な寝顔を見ながら
己れの幸運に感謝した昼下がり。