toshimichanの日記

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忘れさせて上げる

誰を思い出してるの?

窓硝子に映る背後の笑顔。
腰に廻される手、
肩に乗る顎。

誤魔化さないで。

応えてもいいんだけれど、
どうせ見透かされてるんだから、
男らしく強がらせてよ。

二人の顔が並んで映る。
夜景の向こうにそびえる
スカイツリー

忘れなくてもいいけどね
忘れさせて上げるね。と
ベルトを外し忍び込む手が
柔らかで弱い男を包み込む

浮かんだ笑顔や思い出は
指先一つで掻き消され
好き勝手に弄ばれて
嫉妬に駆られた激しさと
壺を心得た舌技で
やがては唾液に溶かされて
喉の彼方にほとばされてしまう。

もはや俺のポークビッツ
スカイツリーなんかに勝てやしない
だけどね
どんなに小さく柔らかくても
何度も何度もゴックンしても
絶対に飲み込めやしないんだ
だって
それは俺の体の一部だから
丸飲みなんか出来ないんだよ。

窓硝子に額を擦り付けて
二度目を堪える歯軋りに
噛み絞めた名前は
お前の名前じゃなかったよ。

どうしてそんな心の内が
噛み潰した筈のあの娘の名前
声にはならなかった筈なのに
お前には読まれてしまうのか
噛み絞められる竿と玉
もはや
二度目どころの堪えじゃない
すっぽりと含まれた口の中で
ギリギリと逃げ場のない
前歯の食い込みと
玉噛みの刑罰

身動きも取れず
微動だに出来ず
食い込む前歯の痛みには
もうあの娘の名前など
微塵にも浮かびはしなかった