toshimichanの日記

ブログの保管所

雪雲

空の端っこに、
青空を汚す様な黒く重たい雲が
俺の気持ちを汚してる。

ポッカリと取り残された
中途半端に欠けてる月が
俺を見下ろしていやがる。

だからと言って、
このまま家路に
着ける分けではなかった。

何時も、このタイミングなんだ。
仕事を定時に上がり、
ロッカーで着替え終えて
会社を出て、
駐車場までの僅か5~6分の徒歩。

何処かで見ていたかの様に
着信が入る。

「ねぇ、新横浜駅にいるよ。
何時もの所で待ってるからね。」

余りにも冷たい風に
雪の匂いを感じてる。
もしかしたら、
あの雲は、
また俺を裏切るのだろうか。

もうこれ以上、
彼女を奪いたくはない。
こんな俺の為に
その残された若さを
無駄に費やして欲しくない。

愛人なんて、
そんな立場を認めて
明るく振る舞う不自然な彼女

どす黒く空を汚す雲
行き場を失くす
ぼんやりと欠けた月。

彼女は彼女の為に
生きている筈なのに、
欠けて行くその身をそこに置いて、
輝こうとする笑顔。
その明るさは、
俺を照らす光なんかじゃない。

夜空だから鮮やかに浮かぶ月。
俺を待つ欠けて行く月。
仕事終わりの雪雲に逆らう月。
俺には、明る過ぎる月。

通勤渋滞は
雪雲を待てなかった様だ。